Fukuta, J. (2013). Representation of Japanese Lexical/Syntactic Compound Verbs in L1 Japanese and Chinese learners of Japanese: Evidence from a Lexical Decision Task. Acquisition of Japanese as a Second Language (『第二言語としての日本語の習得研究』), 16, 125-141.

論文が出ました。本当は冊子が手元に届いたらエントリを上げようと思っていたのですが,発行から一ヶ月以上たっても届かないのでもう上げることにしました。

Fukuta, J. (2013). Representation of Japanese Lexical/Syntactic Compound Verbs in L1 Japanese and Chinese learners of Japanese: Evidence from a Lexical Decision Task. Acquisition of Japanese as a Second Language (『第二言語としての日本語の習得研究』), 16, 125-141.

日本語における複合動詞(e.g., 禿げ散らかす)の表象について,L1日本語話者とL2日本語学習者(中国語話者)による語彙性判断課題の結果を比較しました。日本語学で言われている二種類の(語彙的・統語的)複合動詞の表象に関して,PinkerのDual-mechanismが適応されるという先行研究に対して,L2学習者の知識表象に関しては両方ともなんかこう確率論的学習が働いてるっぽいんじゃないか的な結果を提示しています(論文ではもうちょっとちゃんとした言い方をしています)。

内容としては,コーパスでいろんな条件を統制して,頻度効果を元にちょっとトリッキーな心理実験を組んでいます。自分としてはけっこう気に入っている研究です。日本語教育に直接貢献する研究というよりどちらかというと心理言語学的なアプローチのSLAなので,英語で書きました。

Dual-mechanismとかDP理論とか確率論的学習とかに基づく心理言語学的な文法習得研究には興味はあったのですが,これが初の研究となりました。『第二言語としての日本語の習得研究』は『日本語教育』と並んで日本語教育の分野ではインパクトのある学会誌なので,同じタイミングで二本載せることができたのは大変嬉しいです。

そろそろ英語の習得のほうもだんだんいい結果が返ってくるようになるといいんですが・・・w

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Fukuta, J. (2013). The effects of task demands on oral performance and noticing of EFL learners in paired simple and complex tasks. JABAET Journal, 16, 51-71.

昨年の11月の,JABAET Journalのリサーチノートに拙原稿が掲載されました。
Fukuta, J. (2013). The effects of task demands on oral performance and noticing of EFL learners in paired simple and complex tasks. JABAET Journal, 16, 51-71.
複雑なタスクと単純なタスクを行った時,外国語学習者のスピーキング中の注意配分はどのように異なるかを研究した論文です。タスク間で注意指標の変化は見 られませんでしたが,複雑なタスクはより複雑な言語使用を促し,複雑な言語使用を行った学習者はタスクの違いに関係なく今回扱った目標言語項目(分詞の形 容詞的用法)に注意を向けやすいことを示唆しました。また,発話の複雑さ・正確さ・流暢さから注意を測定することの限界について論じました。

この原稿は幾度とない書き直しを経てそれでもクソ長いこと手元に残っていてやっとはけた苦楽を共にした記念碑的な原稿です。

データは私が卒論のときに取ったものが元になってます。その後データを加え,2011年のJASELE山形で発表し,論立てを色々変えまくって現行のものに至ります。

2011年にある学会誌に投稿してみて,それが私にとって初めての投稿となったわけですが,リジェクトを食らいました。査読コメントを読んで,確かに今のこのレベルじゃまだリジェクトもしょうがないなと自分の中でも思ったので,先行研究のレビューとディスカッションを全て破棄して1から書き直し,2012年の夏ごろ別のジャーナルに投稿しました。
そうしたらレビューには3ヶ月かかりますという連絡があったのに3週間でリジェクトされました。よっぽどダメだったのでしょうか。このジャーナルは一瞬で査読が終わったのにものすごく丁寧なコメントがついていたので,それを参考に今度は論文全体を破棄してまた1から書き直すという行動に出ました。まわりからはずいぶん止められましたが,修論を書く前にこれだけ一つの研究で「ダメ出し→書き直し」プロセスを繰り返すことができたのは自分が大きく成長するきっかけになったと思っています。実際,最初に出したときよりはずいぶん良くなってると思います。
もう修論のデータ取らなきゃというのに必死に書き直した甲斐あってか,原稿に対するコメントがこのころからやっとだんだんリサーチデザインに向くようになってきました。この辺はもうデータ取り直せないので,分析方法を何度も修正して,再査読を2回ほど。JABAETの査読者の方々は本当にしっかり原稿を読んでコメントを下さり,自分でも原稿が目に見えて良くなっていくのを実感できました。最終的になんとかリサーチノートに掲載,という感じで今に至ります。なんとか形になって嬉しいです。
この論文が掲載されるまでに他の論文が2本採択(共同もあわせると3本)決まって修士号も取れちゃったくらいの年月を要しましたが,本当に勉強させてもらった論文でした。
この研究でリサーチデザインを何度も何度もツッコまれ,私自身かなりそこに注意が向くようになりました。元々私の所属している講座がデザインに厳しく,博士前期の2年間はそこに対して入念な指導を頂いていたということもありますが,これらの経験が,修士論文で行った36パターンのカウンターバランスという,タスク研究ではあまり類を見ない変態デザインを生み出す結果となりました。このJABAETの研究のデータも嫌いじゃないんですけどね。人間て複雑なのだなあと実感させられる―――悪く言えばきったねえデータなのですが―――自分自身でいろんな解釈が広がって面白いデータでした。論文には,妄想を延々と連ねるわけにいかないので,ほんの一部しか書けませんでしたが・・・。
ただ,この後にやった研究ではリサーチデザイン自体でぶっ殺されることが極端に少なくなったと思います。逆にここのところ「リサーチデザインは緻密なのだがディスカッションがつまらない」という指摘が多く,次はそっちを強化しなきゃだなあと,それが新たな課題となっています。

さて,この原稿は手元にあった時間が長かったので,思い出を語っていたら長くなってしまいました。興味がおありでしたらご一報ください。

新年

2014年になりました。あけよろです。
今年も幸多き一年になりますよう。

今年も去年から準備してきた研究がいくつかあって,博論もパイロットくらいまで進めたいと思っているので,いい感じに忙しくなりそうです。
ただこの年末年始でめがねなくしたり財布がトイレにダイブしたり末吉引いたりとあまりいい感じではないですが,1,2,3月は四柱推命的にも良くないのでまあこんなもんです。何を言ってるんだ私は。

2月は基礎研の年次研究会があります。発表を受け付けているのでふるってご応募ください。
講演が関西大学の水本篤先生,ワークショップが静岡大学の亘理陽一先生と名古屋大学の草薙邦広さんです。このような始まったばかりの小さな会にわざわざ来ていただけることを心より感謝致します。

決まっている発表としては,夏のブリズベンでAILAがありそこで発表します。1/10に発表申し込みをする予定がある学会発表もあるので,また色々な場所でお会いできたら幸いです。

それでは今年も一年よろしくお願い致します。